Open Living Lab Days 2016に参加しました。
8月23日〜26日、カナダ・モントリオールで開催された「Open Living Lab Days 2016」に参加しました。
Open Living Lab Daysは、ENoLL(European Network of Living Labs)というリビングラボを運営・研究している実践者と研究者のつくる団体が主催する年に一回の集会。今回ははじめてヨーロッパの外に出て、モントリオールのコンコルディア大学で開催されました。
ヨーロッパと地元カナダを中心に、アメリカとオーストラリアからの参加が多かったです。アジアからは上海の人が少し、日本からは私含めて3名。
参加するともらえるカンファレンスのバッジがかわいかったです。
初日は研究会。今回はベルギーの「iMINDS」というリビングラボの研究が何本も。ご近所ラボ新橋を紹介できるかどうかを確かめるのが、参加の大きな目的。コミュニティ活動の拠点というだけではなく、地域政策を多様な主体との協働でデザインしていくという要素がもう少し加わると、新しい形のリビングラボとして発表できそう。
二日目以降は、ワークショップやディスカッションが中心。実際にリビングラボを運営し、企業や行政とともにデザインプロジェクトを実践している人が多いため、どのように多様なステークホルダーを巻き込むか、どのようなメソッドが有効かなど、かなり実践的な議論が行われていました。
ブリストルでリビングラボを運営されているチームのメソッドを体験するワークショップに参加してみました。
チームに分かれてロールプレイをしながら、社会課題を解決するソリューションを検討。手前が私のチーム。カナダのほか、ドイツやスペインからの参加者も。
実際にまちに出るフィールドワークもありました。
歩いているおばあさんに、「美術館どこですか?」と聞いているところ。シニアの視点でまちの課題をみつけていきます。
美術館のなかを歩きながら、チームでディスカッション。モントリオールは、標識とか看板とかまちなかの情報が非常に少ないそうで、日本とは逆で私はいいなあとも思うのですが、現地の研究者は問題意識をもっているよう。
大学にもどり、フィールドワークのまとめ。課題を評価したりソリューションのプロトタイプを発表。短時間のワークショップですが、実際にまちをあるきながらプロトタイピングもするというダイナミックなフィールドワークはよい経験になりました。
私は今回がはじめての参加でしたが、ヨーロッパの都市政策や社会デザインの文脈の前提になっている、「マルチステークホルダーの協働によるポスト工業社会の新しい価値創造の方法論を今きちっと確立しておかないとまずい!」という切迫感というか本気度というか真実味みたいなものを実感できたのは大きな収穫でした。これまでどおりの進め方では有効な解決策は見つからない、しかし多様な立場の人とのコラボレーションをどのように実現するかについても、まだ十分に方法論は見えていない。日本も同じ問題がありますが、まだまだ問題意識の共有にはいたっていません。コミュニティマネジメントという視点からも、リビングラボのメソッドは非常に参考になりました。